江戸時代の面影を色濃く残す奈良井宿。この静かな町並みには、知られざる歴史が隠されています。特に、隠れキリシタンが密かに信仰していたとされる「マリア像」にまつわる物語と、鳥居峠に眠る神秘的な伝説は、訪れる者の心を掴んで離しません。
長野県木曽路の一角にある奈良井宿。ここは江戸から数えて34番目の宿場であり、基礎街道の中でも最大の宿場町でした。宿場町全体が1キロメートルにも及ぶ長さを持ち、その古い町並みは今も国の重要伝統的建造物群保存地区として保護されています。
この宿場には、かつて隠れキリシタンが密かに信仰を続けていたという言い伝えが残されています。特に、その痕跡が残る「マリア像」は、この町の最も不思議な遺産の一つです。
奈良井宿の大法寺には、かつて隠れキリシタンたちが崇拝したとされるマリア像が隠されていました。この像は、江戸時代に迫害を逃れるために山中に埋められ、発見された時には首がなく、子供を抱える姿が特徴的でした。
その子供が持っているものは蓮の花。しかし、よく見ると、その蓮の花は十字架を象徴しているとされています。この像がただの仏像ではなく、キリシタン信仰のマリア像だったのではないかという説が有力です。発見当時、なぜ首がなかったのか、なぜその場所に隠されていたのか、その詳細は謎のままです。
奈良井宿のもう一つの見どころは、険しい鳥居峠です。この峠は、標高1,197メートルの難所で、古くから旅人たちを苦しめた場所として知られています。しかし、この峠にはもう一つの知られざる伝説が眠っています。
それは、戦国時代に木曽義仲がここで御嶽山に向かって戦勝祈願を行い、見事に勝利を収めたという話です。その後、義仲は御嶽山に向けて鳥居を建て、そのことから「鳥居峠」という名前が付けられたと言われています。
この峠の険しさは、戦国武将たちが通った歴史の重みを感じさせると同時に、旅の無事を祈る場所としても知られています。現在も、その鳥居と御嶽神社は旅人たちの守護者としてそびえ立っています。
奈良井宿の魅力は、その歴史だけにとどまりません。秋には周囲の山々が紅葉に彩られ、宿場町全体が鮮やかな色に包まれます。特に、奈良井宿を象徴する木曽の大橋から見る紅葉は、まるで絵画のような美しさです。
この橋は、平成3年に建てられたもので、木曽檜を使用して組み上げられた豪華な造りが特徴です。長さ33メートルに及ぶこの橋は、支柱を一切使わずに檜を組み合わせて作られており、その技術の高さが観光客を驚かせます。
現在、奈良井宿は観光地として多くの人々が訪れていますが、その中でも特に早朝の静けさは格別です。宿場町の風景は、まるで時が止まったかのように保たれ、江戸時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。
古くから続く水飲み場や、趣のある民宿、そして漆器店が並ぶ通りは、現代でも当時の風情を色濃く残しています。特に、奈良井宿は「漆器の町」としても有名で、職人たちが時間をかけて丁寧に作り上げた漆器は、その美しさと耐久性で評判です。
引用元:https://www.youtube.com/watch?v=iMv9SzIZyDI,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]