南アルプスの大自然に囲まれた寸又峡(すまたきょう)、ここに存在する「夢の吊り橋」は、世界中の旅行者が死ぬまでに一度は渡りたいと言われる名所として知られています。その美しさ、そして渡る者に襲いかかる恐怖、さらにそこに隠された神秘的な現象――今回は、その魅力に迫ります。
静岡県に位置する寸又峡は、大自然の中にぽつんと佇む温泉地としても有名です。しかし、多くの観光客がここを訪れる理由はただ一つ、夢の吊り橋。この吊り橋は、大井川鐵道井川線(南アルプスアプトライン)でアクセスでき、長さ90メートル、高さ約8メートルの場所に架かっています。
吊り橋を渡る前に、まず目に飛び込んでくるのは、橋の下に広がる湖「千頭(せんず)ダム湖」。この湖の色が目を奪います。鮮やかなコバルトブルーに輝くその水面は、まるで宝石のよう。その青さは、ただの湖ではありません。実はこの「青」は、微生物の仕業だと言われています。湖には無数の微生物が存在し、彼らが光を反射することで、人間の目には青く映る現象、これが「チンダル現象」なのです。
この神秘的な色合いが、訪れた人々を夢中にさせるのですが、それ以上に注目すべきは吊り橋そのもの。夢の吊り橋は、一度に10人しか渡れないという制限があり、渡る際には慎重さが求められます。風が吹くと橋は大きく揺れ、足元の板は細い。まさに一歩踏み出すたびに心臓が高鳴る、スリル満点の体験です。
夢の吊り橋の下を流れる湖の色が、他の湖とは違う美しい青色に輝く理由は、この「チンダル現象」によるものです。湖に含まれる微細な粒子や微生物が、光を反射しやすい特性を持ち、その中でも特に短い波長の「青色」
が最も強く反射されるため、湖全体が青く輝いて見えるのです。この現象が湖面を染め上げることで、吊り橋からの景色はまさに“絶景”と呼ぶにふさわしいものとなります。
天気や時間帯によって、その青さは刻一刻と変化し、晴れた日には特に濃く、クリアな青色を楽しむことができます。まるで空を映し出したかのような透明感のある湖は、訪れた者を魅了せずにはいられません。
夢の吊り橋へ行くには、大井川鐵道井川線(通称・南アルプスアプトライン)を利用するのが一般的です。この鉄道もまた、一風変わった魅力を持っています。アプト式という特殊な仕組みを使って急な勾配を登るため、まるでスイスの山岳鉄道を思わせる景観の中を、のんびりと進んでいきます。
この鉄道旅自体が、一つの観光体験です。赤い小さな車体が南アルプスの険しい山々を縫うように走り、時折見せるダムや川の美しい景色が窓から楽しめます。特に、トロッコ列車に乗れば、風を全身に浴びながら山々の息吹を感じられることでしょう。まさに、日本の秘境を感じられる鉄道旅です。
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