ドラマは時代を映す鏡であり、時には社会的な影響力を持つこともあります。しかし、その影響があまりに大きく、あるいはトラブルによって封印されてしまった作品も少なくありません。今回の記事では、そうした「封印されたドラマ」7選をご紹介します。これらのドラマは一度は放送されたものの、何らかの事情で再放送やメディア化が難しくなったものばかりです。なぜ封印されてしまったのか、その理由に迫ります。
まず紹介するのは、1988年から1994年までフジテレビ系列で放送された「季節外れの海岸物語」。片岡鶴太郎さんが演じる喫茶店のマスター・高村圭一が、毎回異なる女性と恋に落ちては失恋するというラブストーリーです。豪華なキャストや、サザンオールスターズの楽曲が使用されていたことで人気を博しました。
しかし、この作品は現在、再放送もDVD化もされていません。その理由として挙げられるのは、出演者の一人である田代まさしさんが、薬物事件で逮捕されたこと。以降、このドラマは一切放送されなくなり、現在では幻のドラマとして語られるのみです。
1995年に日本テレビ系列で放送された「終わらない夏」は、平均視聴率が12%を超える人気作でした。瀬戸朝香さん演じる主人公が、幼なじみと新たに出会った男性の間で揺れ動く三角関係を描いています。このドラマは、瀬戸朝香さんと井ノ原快彦さんの出会いの場でもあり、その後の結婚につながったというエピソードも有名です。
しかし、この作品は放送終了後、ある疑惑が発覚しました。1966年に「別冊マーガレット」で連載された漫画『ホットロード』の設定やセリフを盗用していたのではないかと指摘され、制作側が関係者に謝罪したことで、このドラマは封印されることとなったのです。
木村拓哉さん主演の「ギフト」は、1997年にフジテレビで放送されたサスペンスドラマ。記憶喪失の青年が「届け屋」として依頼をこなす中で、徐々に自分の過去を取り戻していくというストーリーです。木村拓哉さんが役に見事にハマった作品として高く評価されています。
しかし、1998年に栃木県で発生した少年によるバタフライナイフ事件がこのドラマに影響を与えました。犯人の少年がこのドラマに触発されたと供述したため、再放送やメディア化が一時中断されました。その後、2019年に封印が解かれ、ようやくDVDやブルーレイが発売されました。
草彅剛さん主演の「フードファイト」は、2000年に日本テレビで放送され、全11話の平均視聴率が17%という高視聴率を記録しました。主人公が地下で開催される「大食いバトル」に挑むという斬新な設定で、非常に人気を集めました。
しかし、2002年に愛知県の中学校で、男子生徒がこのドラマを真似てパンの早食い競争を行い、事故死してしまうという悲劇が起こりました。この事件をきっかけに、再放送やDVD化は見送られ、現在でも封印作品となっています。
2006年にフジテレビの月9枠で放送された「トップキャスター」は、天海祐希さんが主演を務めたニュースキャスターを題材としたドラマです。
視聴率は高く、平均18%を記録しました。しかし、第3話の内容が問題視され、封印されることとなりました。
その第3話では、占い師がインチキであることを生放送中に暴露するという展開が描かれました。この描写が、当時の有名占い師・細木数子さんを連想させるとして抗議を受け、フジテレビは第3話をパッケージ化から除外することを決定しました。
「鋼の女 シーズン2」は2011年にテレビ朝日で放送された深夜ドラマで、教育現場を舞台にした社会派ヒューマンドラマです。第1シーズンが深夜枠で人気を博し、シーズン2ではゴールデンタイムで放送されましたが、視聴率は振るわず、さらに原作者とのトラブルが原因で封印されました。
あるエピソードでアスペルガー症候群の子供を描いた際、その描写が原作者の意図と大きく異なっていたことが問題となり、原作者がクレジットから名前を削除させたという経緯があります。
最後に紹介するのは「海猿Evolution」。2005年にフジテレビで放送されたこのドラマは、海上保安官の活躍を描いた大ヒットシリーズの一部です。しかし、2012年に原作者である佐藤秀峰さんがフジテレビとの取引を停止し、続編の制作を許可しないことを公表したことで、シリーズ自体が封印されることとなりました。
理由は、フジテレビが原作者に無断で関連書籍を販売したというトラブルです。
この問題が解決されない限り、新作の海猿シリーズが出ることはないでしょう。